豊洲市場

無味乾燥なゴミ

クイーンズランドのシーサーペントと真実を見抜く力

アメリカ大統領選での不正投票疑惑をはじめとして昨今、フェイクニュースやデマがネット上で大きな影響力を持つようになりました。

 

そうしたデマ情報と比例して、企業や著名人のSNSがちょっとしたことで炎上するようになり、昔と比べたら「不寛容」な社会になってきたと感じます。(もちろん炎上する側にはそれなりの理由があるのですが)

 

そうした嘘と不寛容な社会を生き抜くヒントが、日本でかつて密かにブームだったUMA(未確認生物)にあると考えています。

 

今回は私がUMAにハマっていた中で、衝撃を受けたある事件と、その事件から学んだ教訓についてお話しします。

 

 

UMAとの出会い

私がまだ子供の頃『藤岡弘、探検隊』というテレビ番組がありました。

 

故・川口浩(1987年没)さんの探検隊シリーズを引き継いだもので、藤岡隊長と探検隊のメンバーが世界各地の秘境に赴き、未確認生物(UMA)の捜索や未開部族との交流を行うという内容でした。


当番組は冒険エンターテインメント作品であり、いわゆる「やらせだと分かっていて楽しむ番組」ですが、

少年時代の純真無垢な私にはそれがわかるはずもなく、探検隊の活躍や捕獲まであと一歩と迫る未確認生物の姿に毎回、心を踊らされたものです。

 

 

2000年代、UMA界隈は冷めていた

やがてテレビ番組だけだは飽き足らず、図書館やネットで UMA 関連の資料を読み漁る ようになりました。

 

当時は有名なネッシー写真、いわゆる「外科医の写真」が捏造だと判明し、 世間の UMA・オカルト熱が冷めていた頃でした。

 

21世紀にもなって、世界のどこかに未知の巨大生物が生き残っていると信じている者は少なくなっていたのです。


当時の私もビッグフットやチュパカブラなどはさすがに半信半疑でしたが、唯一これは確実に実在するなと信じていたのが、海に棲む巨大水棲獣シーサーペントでした。

 

シーサーペン トはその名の通り 大海蛇 で、ネッシーのように特定の湖で目撃されるのではなく、世界各地の海洋で目撃されてるUMAでした。

 

実際、1990 年代になっても新種のメガマウスザメが発見されましたので、当時の私は海洋が人類にとって最後の秘境と思っていました。(今でもそうかもしれません......)

 

世界的にも有名だったシーサーペント写真

さて、そんなシーサーペントの目撃談の中で私が特に衝撃をうけたのが、オーストラリアのクイーンズランド沖で目撃されたものでした。

 

この怪物はフランス人のロベール・セレック氏によって報告されたもので、詳細な目撃談に加え、鮮明なカラー写真の撮影に成功していました。

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巨大なオタマジャクシのような怪物が身体をくねらせて、透き通った南洋の浅瀬を泳ぐ写真は、UMAファンならずとも一度は目にしたことがあるかもしれません。(頑張って描いてみました!笑)

 

ともかく、なんとこの写真は当時、私が読んだ書籍には「この写真はトリック写真でないことが証明された」と書かれておりました。

 

これはシーサーペントの確固たる証拠に違いなく、私は世紀のスクープ写真だと感激したものです。

さらに学会や専門家たちが大いに沸きたち、本格的な調査に乗り出せば、未知の海洋生物が公になる日も近い、と思いました。


しかし川口隊長や藤岡隊長が UMAを捕獲してから続報がないのと同じように、このクイーンズランドのシーサーペントについても何の続報もないまま月日は過ぎていきました。

 

やがて私自身のUMA熱もすっかり冷めきったころ、父からプレゼントされたあるUMA 系の書籍で衝撃の真実を知ることになったのです!

 

あの写真の真実

その本にはクイーンズランドのシーサーペントが作り物であり、すべてロベール・セレック氏のでっちあげであったと記されていました。

 

なんとセレック氏は写真家でもなんでもなく、多額の借金をかかえた国際指名手配犯だったのです。

 

撮影者の素性が明らかになれば、この写真に対する見方も変わってきます。

 

しかも彼は「ウミヘビ関係の仕事で一儲けする」と周りに言いふらしていたらしいです。呆れますね。

 

しかし外科医の写真のように模型をただ撮ったというわけではありませんでした。

 

トリック写真ではなかった!

驚くことにセレック氏は実物大のシーサーペントの模型を用意し、海に浮かべて撮影したのです。

 

「トリック写真ではない」という鑑定結果が出たのは、合成写真でも模型を拡大したものでもないため、当然といえば当然の結果です。

 

私はおもちゃの潜水艦を使って撮影されたネッシー写真につられて、「トリック写真ではない=本物」と勝手に思い込んでいました。

 

まとめ

何だか狐につままれたような結末ですが、大人になった今、社会やネット上ではこのようなデマやフェイクニュースが大いにはびこっていると感じます。

 

正面から事実を鵜呑みにするのではなく、 無意識にかかったバイアスを排除した上で、多角的に検証し真実を見極める力が必要なのです。

 

探検隊シリーズという「いかにも」なものは無害ですが、クイーンズランドのシーサーペ ントのような隙が無い嘘は、信じてしまう人がいるゆえに悪質になり得ます。

 

受け取る側がしっかりとしたリテラシーを持つことが大切なのです。


それにしても、セレック氏の写真は良く出来ています。

偽物とわかっていてもなお、本当に素晴らしい構図だなあ(笑)